経済学で経済の枠組みを勉強しつつも、謙虚にマーケットの変化と長期的に付き合っていくべきだと思います。
株式投資をする人が増えて、経済に対する関心が高まったためか、経済学に関するやさしい入門書がベストセラーになったりしたこともありました。
需要と供給の曲線を描き、その交わった均衡点で価格が決まるという経済理論です。
たしかにこうしたグラフがキッチリと描けるならば、物価の動向やこれからの日本経済の方向を正確に予測できるかもしれません。
しかし、よく考えてみてください。
世の中の誰が、こうした需要曲線や供給曲線を正確に描くことができるでしょうか。
あるモノやサービスの需要と供給すべての情報を持っていれば、そういうことが可能かもしれません。
しかし、誰もが経験しているように、この世に完全な予定調和などないのです。
予定外のことがひんぱんに起こるのが、わたしたちが直面している現実なのです。
このような美しい曲線は、経済理論の中で1つのモデルとして引いているわけです。
しかし、現実にたとえば、金利と革新的な統計分析の業績で、理論家として世界的な経済学者との評価を受けていたAは、1929年10月15日、「株価は永久に高値圏が続くとみられる領域に達した」と表明しました。
しかし、それは歴史的な大暴落が起こるほんの数日前だったのです。
偉大な経済学者でも、株価の先行きは正しく読めないのですから、わたしたちが予測できると思うのは、奢っているのではないでしょうか。
日々経済が動く中で、いわば真空状態を作り出して、引いた曲線の正しさを実験できるわけでもありません。
具体的に、あるモノやサービスをイメージしてみましよう。
いくらなら買うけれども、いくらなら買わないという購買基準の集計が需要曲線であるはずです。
ところが、購買基準は各人一様ではありません。
しかも、人間の実際の購買パターンというのは、多くが衝動買いだと言われています。
つまり、わたしたちは何かしら確固とした購買基準を持って、理性的に買い物をしているわけではないのです。
自分の行動を思い浮かべれば、すぐにわかります。
とすると、「必ずこうなる」という信念をもって、この曲線を描くのは不可能なはずです。
そういう意味では、このグラフの根拠は相当もろいものなのです。
このグラフは、「モノの供給が少なくなると値段が上がる」「値段が上がると需要が減る」という現象を表しているにすぎません。
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